業務用厨房機器の耐用年数について
耐用年数に関する省令
業務用厨房機器の減価償却資産の耐用年数は、国税庁のHPに記載されています。
飲食店の厨房機器に該当する箇所は機械・装置のカテゴリー内の飲食店業用設備に該当し、8年と省令で定められています。同じ機械でも、業種によって設定も異なってきますので注意しましょう。
例えば、食料品製造業用、ホテルなどの宿泊業用になると10年、洗濯・理容・美容業になると13年などです。使用頻度等を考慮して耐用年数が決められているようです。
器具・備品類の冷蔵庫やガス機器などは6年となっていますが、ここでは家庭用の機械を指しますので注意しましょう。耐用年数は、長い方・短い方どちらがいいとは一概に言えませんが、ご自身の会社の状況等によって変わってくるかと思われます。
使用頻度や使用状況により、期間の変更を税務署に申請することもできるようです。詳しくは、税理士さんや会計事務所さんにご相談いただくといいでしょう。
耐用年数表の見方
※飲食店用の厨房機器以外も見れるように、最初から手順をご紹介します。
※別ウインドウが開きます。
※開いた別ウインドウ内のサイト内検索に「耐用年数表」と入力し検索して出てきた耐用年数表をクリック。
出てきた表の該当箇所で耐用年数を調べられます。飲食店業用設備は8年など...
調べたい耐用年数表の該当箇所をチェック
実際の入替目安
厨房機器の入替は10年が目安?
冷蔵・冷凍・その他電気機器類
上記はあくまで省令での減価償却用の耐用年数になりますが、実際には弊社の経験上、国内メーカー品であれば品質もいいので、冷蔵機器類・電気、IH調理器類で10年前後は比較的故障も少なく稼働してくれます。10年を過ぎると故障が多くなってきます。
熱調理機器(ガス機器類)
熱調理機器に関しては、ガス器具だと使用状況によってはバーナーが腐ったりノズルが詰まったりして火が付かなくなることはありますが、お掃除や部品交換で対応可能です。本体自体の板金やバーナーを支えている柱などが腐ったり穴が開いたりしない限り、ずっと使用できます。
強火力で使用する中華料理屋さんやラーメン屋さんなどは劣化が早いので、一般の飲食店と比較すると10年前後(稼働状況や使用頻度、現場状況によってもっと早い場合もあります。)でレンジ関係を入れ替えるケースが多いです。
20年たっても壊れない機械もある!
使用頻度や使い方、現場環境にもよると思われますが、20年以上たっても故障なく動いている冷蔵庫や製氷機もあります。弊社では、ホシザキ製品の入替工事を行う事が多いのですが、故障はしていないけれど電気代や性能面を考慮して買い替える方もいらっしゃいます。その間、サービスマンに部品交換や修理をしてもらった方やまったく修理等はしていない方など様々です。
弊社の経験上、機械が長持ちしているお店の厨房は、キレイな厨房や日々のお手入れ・清掃がしっかりされている所が多い気がします。換気扇などが壊れているお店などは、湿度が高めだったりしつこい油汚れ等もたまっていきます。また、日々のお手入れや清掃をしていないと機械のフィルターなどへも汚れが詰まってコンプレッサーなどへの負荷がかかり、故障のリスクがあがってしまいます。
保守・メンテナンス契約は必要?
いろいろなケースをご紹介しましたが、機械物なので当たり外れがあります。非常に稀ですが、大手メーカーの新品の機械でも納品直後から調子が悪かったり、使用して1年もたたない間に故障するケースが全くないわけではありません。(その他納品から5年以内に故障するなど..)
万が一のことを考えて、購入先メーカーと保守・メンテナンス契約を結んでおくと安心です。
ただ、上記のようにまったく壊れない場合もありますので、購入価格や保守契約費用・電気代・ガス代などのランニングコストなどを考慮して検討されるのがベストです。
保守・メンテナンス契約の一般的な費用感は以下の項目で解説します。
万が一のために保守・メンテナンス契約をした場合の費用の目安は?
一般的な保守・メンテナンス契約費用(目安)を表にまとめました。あくまでも目安になりますので、細かい条件や正確な金額はメーカーごとに異なります。担当の営業マンやサービスマンに見積をしてもらうと良いでしょう。
メンテナンス料金比較表(目安)
機種別年間料金比較表です。一般的な飲食店などで使用する機種の目安となります。
工場・給食センター用など大型の機種は含んでおりません。
製品名 | 年間料金 ※税別 |
---|---|
製氷機(製氷能力25kg/日~230kg/日程度の機種) | 3万円~5万円程度 |
製氷機(製氷能力300kg/日~1000kg/日程度の機種) | 7万円~10万円程度 |
縦型冷蔵庫・冷凍庫・冷凍冷蔵庫 | 3万円~4万円程度 |
コールドテーブル(冷蔵・冷凍・冷凍冷蔵) | 2万円~3万円程度 |
冷蔵ショーケース各種 | 2万円~3万円程度 |
消毒保管庫・殺菌庫 | 4万円~6万円程度 |
食器洗浄機 | 3万円~6万円程度 |
ビールサーバー | 3万円~6万円程度 |
ディスペンサー(水専用・給茶機・氷水など..) | 2万円~5万円程度 |
フライヤー(電気式・電磁式・ガス式) | 3万円~5万円程度 |
スチームコンベクションオーブン | 6万円~15万円程度 |
ゆで麺機各種(電気式・電磁式・ガス式) | 2万円~6万円程度 |
グリドル | 2万円~4万円程度 |
餃子焼器・自動餃子焼器(電磁式・ガス式) | 2万円~7万円程度 |
焼物機(電気式・ガス式) | 2万円~4万円程度 |
IHレンジ・IHテーブル | 2万円~6万円程度 |
ガスレンジ(オーブン付きタイプ含む) | 2万円~6万円程度 |
温湿蔵庫・温蔵庫 | 3万円~6万円程度 |
ウォーマー | 2万円~4万円程度 |
蒸し器 | 2万円~5万円程度 |
保守契約の内容
メーカーや機械によって異なりますが、年間契約が主となります。
年数回の定期点検や、機械の性能維持の為の清掃・計測器を用いた電圧チェックなどをしてくれます。
食品衛生法(第3条)に記載がありますが、食品等事業者は自らの責任において食品の安全性を確保するように求めらています。
保守契約に入ることが義務となっているわけでありませんが、食品の安全性を確保する為に日々の点検や清掃は必要です。
保守契約の契約対象は10年未満までが多い
入替目安の項目で、10年を過ぎると機械の故障が多くなると記載しましたが、※一般的なメーカーでの保守契約の対象期間も10年未満までの商品が主となっています。
(※設置後6年未満など、メーカーによって条件が異なる場合もありますので、正確な情報はメーカー担当者やサービスマンに確認しましょう!)
保守契約からは話が反れますが、令和3年6月1日から飲食店においても「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が義務化されました。
機械の故障は食品の安全性の確保やHACCPに沿った衛生管理などに直接影響してしまいます。
その他、飲食店にも関連する食品衛生法などの法改正情報などは、厚生労働省のHPに記載されていますので、チェックしておく必要があります。
食品衛生法の改正について(厚生労働省HP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html
保守契約のメリット・デメリット
- 定期点検により故障リスクを削減できる
- 故障時の費用負担がなくなる。(※部品代のみ有償の契約など、契約内容によって条件が異なります。)
- 機械以外の不具合を見つけてもらえる場合もある。(排水の詰まりや、建物側の漏電など..)
- 故障時の対応が早くなる。(修理用部品の在庫状況等にもよりますが、見積を取る時間や決済・契約等の時間が短縮されますので、結果的に修理も早くなります。)
- ランニングコストの増加
保守契約に入る直接的なデメリットはこの1点に尽きます。
上記の表でもご案内していますが、全ての機械を保守契約の対象にすると、高額な費用負担になります。
厨房機器まとめての保守契約の場合は、値引き等の交渉が可能かメーカー担当者に問い合わせてみるのもおすすめです。
保守契約に入る機械を選別して、無理のない範囲で検討するようにしましょう。
例えば...
- 客席数や回転率の高いお店などは、常時洗い場が稼働しています。食洗器などは比較的故障や不具合が多い機械になるので、食洗器だけ保守契約に入っておく。
- 席数の多い、ダイニングバーやクラブなどドリンクを多く出すお店では、繁忙期に製氷機が故障すると大きな営業損失が発生してしまうため、製氷機のみ保守契約に入っておく。
- 食材を大量に保管するお店では、冷蔵庫や冷凍庫の保守契約に入っておく。など....
保守契約の注意事項
契約内容に注意!
細かい条件や保証内容は、メーカーや加入時期により異なります。
一般的なメーカーでは、天災(火事・地震など..)や使用者様側に問題がある場合(使用方法など..)を除き保証の対象となりますが、上記に記載したように、納品時から10年未満までの機械を対象としている場合が多いです。
特殊機器などは、メーカーや機種によっても保証期間などの条件は様々ですので必ず確認するようにしましょう。
条件の一例
- 部品代も込みの保守契約と、部品代が別途の保守契約で費用が異なる。
- 冷蔵庫・製氷機などの扉やゴムパッキン、フロントパネルなどは補償対象外。
- ガス機器のバーナーや元火・種火ノズル等は補償対象外。(実際ガス専用機器の保守契約を結ぶケースは少ない。)
- 故障時に即時対応してもらえるわけではない。(夜間・祝祭日対応などはできない、部品在庫がない場合は部品の納品後の修理対応となる。メーカーによってサービスマンの人員対応も異なるため、迅速な対応が可能なのは大手メーカーに限られる。)
- 保守・メンテ対応の24時間窓口などがあるわけではない。営業時間外は留守電になるため、翌営業日以降の対応となる。
など...
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