厨房機器撤去時の注意事項
フロン排出抑制法・第一種特定製品に該当する注意事項
第一種特定製品とは?
飲食店に関連する部分での第一種特定製品とは、業務用エアコン・製氷機・縦型冷凍冷蔵庫各種・コールドテーブル各種・冷蔵ショーケース各種など、冷媒を使用している業務用冷蔵・冷凍・空調機器になります。
機器に貼ってあるステッカーに、写真のように「第一種特定製品」と記載があるのが該当製品になります。
フロン排出抑制法の改正により、令和2年(2020年4月1日)から業務用の冷凍・冷蔵機器やエアコンを廃棄する際の規制が強化されました。具体的には機器の管理者には定期的な点検が義務化されたこと、機器を廃棄する際に書類の作成・保管が義務化されました。ご自身で廃棄をする場合は必ず必要になりますので注意が必要です。厨房メーカー・リサイクル業者・充填回収の登録業者さんなどにお願いする場合は、メーカーさんや業者さん側が所有者となって廃棄してもらえるので、飲食店側が書類を作成するケースは少ないのが実情です。その場合でも、メーカーさんや業者さん側へは、それまでの点検記録簿を必ず提出する必要があります。
管理者に求める点検
(簡易点検・定期点検)の内容
点検内容 | 点検頻度 | 点検実施者 | |
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【簡易点検】 全ての第一種特定製品 (業務用の冷凍空調機器) | 冷蔵機器及び冷凍機器の庫内温度 製品からの異音、製品外観(配管含む)の損傷、腐食、錆び、油にじみ並びに熱交換器の霜付き等の冷媒として充填されているフロン類の漏えいの徴候有無 | 3ヵ月に1回以上 | 実施者の具体的な限定なし。 |
【定期点検】 圧縮機に用いられる電動機の定格出力が7.5kW以上の機器 | 定期的に直接法や間接法による専門的な冷媒漏えい検査を実施。 | 7.5kW以上の冷凍冷蔵機器 :1年に1回以上 50kW以上の空調機器 :1年に1回以上 7.5~50kW未満の空調機器 :3年に1回以上 | 機器等に関する具体的な知見を有する者(社外・社内を問わない)。 |
環境省のホームページにも掲載されていますが、一定の出力未満の機器では簡易点検時に特段専門的な知識は必要ありません。一般的な厨房機器では普段お店で毎日厨房機器を利用していると思いますので、簡易点検ができていることになります。
実際に機械の故障時は、「異音」であったり機械のデジタル表示に「エラーコード」が出て分かりますよね
少し面倒が増えますが、3カ月に1回「異常なし」や修理依頼をした場合は、依頼先・内容などを記録しておきましょう。点検記録簿の参考様式は、環境省のホームページからダウンロードできます。
家電リサイクル法に該当する機種の注意事項
飲食店で使用する機器は、基本的には業務用扱いの第一種特定製品で「フロン排出抑制法」に則った管理・点検・廃棄になりますが、一部小型の冷凍ストッカーなどは一般家庭用の家電と同じように「家電リサイクル法」に則った処分となります。
皆様ご周知の通り、各自治体で「リサイクル券」の購入先の案内がでていますのでそちらから購入してください。弊社の管轄の宮城県仙台市の場合は郵便局での購入となります。料金表は家電製品協会のホームページで公開されていますので、そちらをご参照下さい。購入した券を製品に貼り、各自治体指定の引き取り先へ持ち込みます。
小型の冷凍ストッカーでも業務用扱いの機器もあります。業務用扱いの機器は、一般家電のリサイクルセンターでは引き取ってもらえませんので、業務用機器(第一種特定製品)として処理します。機器に「第一種特定製品」の記述がない機器もあり区別しづらいのですが、上記リンク先「家電製品協会のホームページ・料金表」をチェックすれば記載されていますので、そちらで確認してください。
ここでは、具体例をご紹介します。
スナックや小料理屋さんなどの比較的小規模なお店の厨房カウンター下やバックヤードなどで利用されている方も多いのではないでしょうか。
写真からもわかるように、製品のステッカーには「第一種特定製品」の記述がありません。
業務用として処理すればいいのか、家庭用として処理すればいいのか...?
そこで、「家電製品協会のホームページ・料金表」をチェックすると
三洋のSCRシリーズが「対象外機種」となっており、家庭用としては処理できないことが分かります。
このように、メーカーが変わると同等品でも家庭用・業務用の区別が変わり、処分の方法も異なる機種が出てくる場合がありますのでご注意下さい。
店舗解体・改修・新規出店時の注意事項
改正大気汚染防止法に関する注意事項
専門メディア、環境省のホームページなどにも多数情報が掲載されていますので、詳細はここでは触れませんが、分かりやすくまとめると店舗の解体や、改修(内装)工事でも100万円こえる場合、もしく床面積の合計が80㎡以上の場合に石綿の事前の調査・届け出が必要になりました。
工事前の労働基準監督署への届け出
届出が必要な工事 |
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①解体工事部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事 |
② 請負金額が100万円以上である特定の工作物の解体工事 |
③ 請負金額が100万円以上である建築物又は特定の工作物の改修工事 |
2022年4月から「石綿作業主任者」による事前調査・届出が義務化されていますが、2023年10月からは「一般建築物石綿含有建材調査者」の有資格者による調査が必須となります。
怠った場合には罰則もあるようです。発注者側・下請け側ともに罰金・刑事罰の可能性が高いので注意しましょう。
解体・内装工事を知り合いの職人さんなどに直接発注をして安く工事をしてもらう場合など、面倒な手続きや法規制関連をしっかりやってくれるかの確認も、これまで以上に必要になりますのでご注意ください。
消防法に関する新規出店時に必要な届け出類
防火管理者等についてはこちらの記事にまとめてありますのでご参照下さい。
防火対象設備使用開始届
建物(防火対象物)を新たに使用する、テナントが変わるといったタイミングで届出が必要です。
使用開始日の7日前までが期限となります。
<必要な添付書類>
・防火対象物概要表・案内図・平面図・立面図・断面図・展開図
・室内仕上げ表及び建具表・火気設備の機器リストと仕様書
・消防用設備等の設計図書(消火器具、避難器具等の配置図を含む)
飲食店の内装設備工事で、お客様が想定していない所で大きな予算がかかるのがダクト工事です。専門のダクト工事業者さんへ依頼する必要があり、管轄の消防との事前打ち合わせも必要です。搬入予定の厨房機器から必要な換気計算をして、設備図面も事前に提出します。
予算を削るために消防を無視して保健所のみの検査で開業するお店もありますが、防火指定の建材を使用するよう指導を受けたり、設備工事のやり直しや行政指導を受ける可能性もありますので、しっかりと設置届までやってもらえる業者さんへ依頼するようご注意ください。
食品営業許可申請(HACCP・センサー/レバー式水栓の設置義務)
すべての飲食店で申請(保健所)が必要です。
店舗完成の10日ほど前までに行いましょう。
飲食業を経験された方ならご存じの方も多いと思いますが、保健所申請時に言われるのは厨房側、客席側の手洗い、シンクの槽の数、食器類を収納できる扉付きの収納、客先側と厨房との区切りなどです。
最近では食品衛生法の改正に伴い、営業施設の施設基準も改正され令和3年6月1日以降、飲食店を新規開業する場合手で蛇口を捻るタイプの水栓ではだめで、センサー式や足踏みペダル式、もしくはレバー式水栓をつけなければいけなくなりました。
チ 従業者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数有すること。なお、水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること。
引用元:厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律の政省令等に関する資料」https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000595368.pdf
わかりやすく言うと手を洗った後に蛇口を触るとまた汚染されてしまうので、触れなくていいセンサー式や足踏みペダル式をつけましょうという意味です。いろいろな費用がかかる中、センサー式水栓を導入できるお店は限られると思いますので妥協案で肘で操作できるロングレバー式水栓が一般的になると思われます。
開業前の保健所検査に水栓の種類・形状も加わることになります。
今回の法改正で、施設基準が各自治体が参酌基準としなければならなくなった為、ある程度全国で基準が統一化されていくことが予想されます。今までは各自治体の条例で定められており、施設基準もまちまちな所が多々ありました。主となる従業員用の手洗いや客席側の手洗いは自動水栓が必須となると思われますので、あとから予定外の出費がかさまないように、管轄の保健所へ事前に確認をしておくと良いでしょう。
※法改正前から営業をしているお店では、営業許可の有効期限満了日までは、今までの設備のままで営業出来ます。HACCPなどと合わせて開業前におさえておくと良いでしょう。
主な法改正 |
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HACCPに沿った衛生管理の制度化 厚生労働省該当ページを見る |
食品衛生法等の一部を改正する法律の政省令等に関する資料 該当資料を見る |
その他飲食店開業時に必要な届け出類は、こちらの記事でまとめています。
ガス機器の管理に関する注意事項
令和2年7月30日の福島県郡山市の大規模なガス漏えい事故を受けて、総務省消防庁・経済産業省から業務用厨房機器をお使いの皆様へ向けた注意喚起がされていますのでご紹介します。
業務用厨房機器をお使いの皆様へ(経済産業省より)
経済産業省では令和3年4月に「ガス安全高度化計画2030」及び「液化石油ガス安全高度化計画2030」を公表しており、前者のアクションプランでは「業務用需要家に対する安全意識の向上のための周知・啓発」を、後者のアクションプランでは「周知等による保安意識の向上」を掲げています。
業務用ガス機器(都市ガス及び液化石油ガス)が使用される業務用厨房施設等において、ガス漏えいによる火災・爆発事故や不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故が発生した場合に多くの人を巻き込み甚大な被害を及ぼす可能性があります。
最近の事例としては、令和2年7月30日に福島県郡山市の飲食店において液化石油ガスの漏えいによる大規模な爆発事故が発生しました。業務用厨房施設等での事故を防ぐには、ガス機器の定期的な清掃やメンテナンスを行うことが大切です。
そのため、経済産業省では別添の通り、総務省消防庁と連携して業務用厨房施設等においてガス機器をご使用の皆様及び管理者の皆様に注意喚起を行っております。
引用元:全国商工会連合会ホームページ